【公益財団法人 勤労青少年躍進会 理事長賞】

働く意義
島根電工株式会社  橋本雅也

私は大学を卒業し、2年目の社会人です。今働いている会社は電気設備工事会社で、水道や空調などの設備の営業として働いています。入社後半年間は現場実習として、先輩と一緒にお客様の家などで施工をし、その後、営業になりました。営業になった今、個人のお客様や工務店から、私を信頼して工事を出してもらうことが役割だと思っています。
 入社2年目になると、仕事の内容、会社の仕組みなどが徐々に分かり始め、仕事量も増えてきました。その上、お客様からの依頼で現地調査や見積の作成等の業務が忙しくなり、自分のことしか考えられなくなっていました。お客様から工事をもらうことが営業職としての仕事ですが、自分中心で物事を考えてしまい、お客様の思いを感じ取れなくなっていました。
 そんな時、「キッチンの蛇口から水が少し漏れていて取り替えたい」という依頼がありましたが、「少しだけしか漏れていないからそこまで急いで取り替える必要が無い」と勝手に思い込み、他の業務もあったため見積を出すのが遅くなってしまいました。数日後に見積を提示したところ、すでに別の会社に依頼され、工事も終わっていました。この経験から、自分が些細なことだと思っていても、お客様にとっては一大事なことで、それを感じることができかったことが自分自身の足りない部分だと強く痛感したと共に、このお客様は次に何かあった時には私に依頼してこないだろうとも思いました。
 その中で、基本に立ち返って考えてみると、働くとは「相手がしてもらって嬉しいことを考え続けること」だと思います。学生時代は、テストの点数上げるために勉強する、部活動では試合に勝つために練習をするなど、自分中心で物事を考えていました。しかし、社会人になると、相手のことを考え、特にお客様からお金をいただくということは、お客様の立場になって物事を考える必要があります。お客様の期待に応える、期待以上の結果を出し、感動を与える事だと再確認しました。
 そう思っていた数日後、他のお客様から電気温水器が壊れてしまい、同じものでいいのですぐにお湯が使えるように交換して欲しいと依頼がありました。お湯が出ないお客様にとって大切なことは、何よりもお湯が早く使えるようになることです。しかし、古い温水器は電気代が高く、性能もあまり良くありません。そこで、同等品の交換の見積と電気代が安く、性能の良い新しいエコキュートへ交換する見積を作成しました。すぐに2種類の見積を持参し、説明をすると私が提案させてもらった新しいエコキュートへの交換を頼まれました。その工事が終わった数か月後にお客様から電話があり、「電気代が安くなり、使い勝手も良くなって本当に満足しています」と言っていただきました。お客様が喜んでくれたことで、私も非常に満足できました。
 電気温水器を取り替えるという同じ状況であっても、お客様によって「嬉しい」と思うことが異なります。それはお客様一人ひとり異なり、それを察するためにお客様の話す内容や仕草など、どのような人か見極めることが大切です。相手のことを考え続けることで相手を満足させることができると思います。
 私自身、まだまだ仕事に関する知識は足りていません。しかし、お客様が求めているものを感じ取ることは今の自分にもできることだと思います。その感性を今のうちに磨き、より多くのお客様の心を掴めるようになりたいです。そして、相手がしてもらって嬉しいと思うことをこれからも考え続けていきます。会社のスローガンでもある“期待をこえる感動”を実現する社員を目指し、努力し続けていきたいと思います。

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