【 佳   作 】

【テーマ:仕事探しを通じて気づいたこと】
仕事探しは挨拶みたいなもの
東京都  米 澤 キクナ  40歳

今から20年ほど前の大学生だったころ、私も就職活動に押し迫るストレスと遠くに鈍く光る明るい将来を抱きながら、学業とバイトと忙しい日々を送っていました。就活サイトをチェックしては応募し、面接時の対応が上手な学生がいればプレッシャーを感じ、働く先を見つけることが難しいという社会人としての第一の壁を感じていた。

なんとか内定をもらえた。それから20年、当時入社した企業は配偶者の転勤という形で退職することになった。引っ越し先で見つけた企業もまた、配偶者の転勤で退職。ただでさえ、既婚女性の就活の厳しさを痛感。3度目の就活で、既婚女性、子持ちという就活へのハードルが飛躍的に上がっていく中、これまで面接は何度行ったかもう覚えていない。

面接をこなすうちに、内定をもらいやすいパターンがあることに気づいてきた。それは面接中「話が盛り上がること」。私は履歴書にはいつも突っ込みどころを用意していた。あまり書いている人はいないだろうという趣味や特技。よく、趣味特技としてカテゴリ登録されているようなものはほぼ目立たない。履歴書の罫線並みに目立たない。読書・映画鑑賞と書かれていてもそう書いている人が多すぎて突っ込んできてくれない。私はどちらも趣味ではないが。思い返すこと新卒で採用された企業との面接では趣味の話で盛り上がった。それは「アイロンがけ」。趣味という趣味を持っていなかったというところはさておき、中学生のころからかかさず制服にアイロンをかけていた。父のスーツのズボン・シャツにも必ず私がアイロンをかけていた。母は雑だったからだ。そんなわけで、アイロンのかけ方にも自信があったため、趣味特技欄に「アイロンがけ」と書いていた。するとなんと取締役の趣味もアイロンがけであった!ここからは面接というよりもアイロンのかけ方の話から、おすすめのアイロン話になり、面接は一気に楽しい空間へと変わっていった。

新卒の内定でそんな経験をしたものだから、それから面接を受ける場合にはかならず突っ込みどころを配置するようにした。

希望する企業の面接官と息が合わないかもしれない、でも話が盛り上がるのが楽しく、もはや受けにいくというよりも、ちょっとお話をしにいく、というものに私の中では変わっていました。

仕事探し時に必ず付きまとう面接ですが、私はちょっとご機嫌伺にいってくるという気持ちで行く。現職では兼任で採用を行うこともあり、採用側の観点も理解している。コミュニケーションがとれるかどうかは非常に重要な項目になっているのだ。そこに得意なものについて語れといわれたなら、こっちのもの。他の何よりも話やすいんじゃないだろうか。会社がやっていることや、ビジョン、欲しい人材と決められていることもあるが、やはり一緒に働いてみたいと思わせたら勝ちである。

就活も「出会い」である。仕事を一緒にするのはまだまだ人間とである。その相手とのコミュニケーションが円滑に進めれるかどうかが最重要だと思う。

仕事探しは友達探しのようなもの。面接では失礼のない範囲でお話しにいきますというスタンスで出かけている。仕事探しは挨拶のように気軽にかつフランクに相手の状況を聞き取れる場なのです。

受けてきた中で、第1印象でいろいろと決めてくる人、会話のキャッチボールで的をえた回答をできているかを見る人、あとは盛り上がれるポイントをつかむ。この会社でこの人と働いていきたい!と思ったり思わせられたならそこの職場はたいてい当たりです。

どこの会社も、人材を大事にしている。だからこそWinWinな関係をつくれる仲間をほしいんです。そんな感じで入社した企業は家族のようなチームだったりとどれも居心地がよかったです。つぎもまた居心地のよさそうなところでやりたい仕事をやろうと思ってます。

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