【佳作】

【テーマ:さまざまな働き方をめぐる、わたしの提言】
自分の歩くスピード
大阪府 響 あづ妙 23歳

22歳。大学を卒業する年齢の人が多く、新社会人に向けて新たな気持ちを持ち始めるそんな時に、私 はADHD(注意欠陥多動性障害)ASD(アスペルガー障害)の診断を受けました。

私は22歳で初めて発達障害の診断を受けたのですが、それまでは「自分は不器用で周りの人と進んで いくスピードがちょっと違うのかもしれない」そんなことを感じていました。

実際、できないことは多く、人の気持ちもあまり読めないため、苦労はしてきました。

ただ、できることを必死にやっていれば、なんとか周りの人とは同じぐらいのレベルにまで到達する ことが分かっていたので「とにかく、必死にくらいつかないといけない!」そんなことを考えていまし た。

今年23歳になる私の現在ですが、洋服屋さんでのアルバイトを月に15回程度、あとは在宅で記事を書 くアルバイトをしています。

17歳で初めてアルバイトをしてから早6年、これまで様々なアルバイトをしてきました。

一番長く続けることができた職場は2年間、それ以外はだいたい1年持つか持たないかの期間で辞め てしまいます。

「熱しやすくて冷めやすい」そんな言葉をアルバイト先に抱く感情に使っていいのかはわかりません が、私は入った時はやる気に満ち溢れていて、なんでも頑張ろうと思えるのに、半年が経ったぐらいに 心の中に大きな波が押し寄せてきて、その波の高さはだんだんと高くなってきて、心を埋め尽くしてし まうのです。

その波が心の中に押し寄せてきたとき、心の中は溺れているような感覚になり、ずっと息苦しく、私 は急に人と話すことができなくなってしまいます。

そうなってしまうと、私の頭の中に浮かぶ感情は「辞める」という感情ばかりで、その場所に居続け る、我慢するということがどうしてもできず、いつも短い期間でアルバイト先を辞めてしまいます。

そしてまた新しいアルバイト先を探しては同じことを繰り返す日々を送っていました。

発達障害の診断を受け、先生にその話をしたとき「自分の進んでいくスピード」を知ることの大事さ を教えてもらいました。

正直、今までは周りと同じようにすることが良いと思い込んでいて、週に5日ちゃんと働かないとい けない!とか、周りから見られる「普通の自分」を創ることで精一杯だったのです。

先生にその話をしてもらったとき、なんだか心が軽くなった気がして「やっとここから自分の道を歩 くことができる」そんな気持ちになりました。

同級生が新社会人としてスタートした時期に、私はやっとスタートをするための準備をする列に並ぶ ことができたのです。

働き方は様々で、働くということについても色々な考え方があると思います。

ただ、私は「自分の道を自分のスピードで歩くこと」が一番大事なこと。今は、そう思えています。

予め人にはなんとなく決められた人生のレールが引かれていて、その道をまっすぐ進むことが正しい と感じる人もいれば、途中で道を切り替える人もいるでしょうし、途中でレールが途切れてしまう人 だっているはずです。

ふと、進んできた道を振り返ってみたとき、自分がまっすぐだと思っていた道は意外とまっすぐじゃ なかったことだってあるかもしれません。

人それぞれ、進む道の長さは違いますし、進むスピードだって違います。

仕事だってそうです。「よーい!ドン」で一斉にスタートしても、同じスピードでみんなが進むとは限 りませんよね?そこで、大事なのは「自分の個性に合ったスピードで働くこと」

そして「周りの人が自分と同じスピードで働いているとは限らないと思うこと」 これが私の考える、働き方についての提言です。

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