【 奨 励 賞 】

【テーマ:さまざまな働き方をめぐる、わたしの提言】
ストレスに負けない働き方を!
熊本県立技術短期大学校 田中 誠一郎 47歳

私は現在、18年前にパニック障害を煩ってから病気と仲良くしながら仕事を続けています。若い皆さん には、私の体験から是非ストレスに負けない働き方をして欲しいと思い筆を取りました。私は病気にな る前までは、自分はストレスなんかに負ける人間だとは露ほども思っていませんでした。それがあると き、バイオリンの弦が突然切れるように病気になってしまったのです。私が就職してからは、それこそ いつもエンジン全開で仕事に打ち込んでいました。これは皆さんも同じだと思います、そんなとき、あ れ?最近寝不足かな?と思ったら、それは体が悲鳴を上げているサインですから決して見逃さないでく ださい。どんなに体調が良くても、眠れないというサインは一番精神疲労のわかりやすいサインなので す。若いうちは健康に感謝して働くというのはなかなか考えにくいものです。健康診断でもどこも悪く ないじゃないか!と突っ走ってしまいがちです。しかしそこに落とし穴があります。私のパニック障害 という病気は、100人中3人くらいの人がかかる病気だそうです。多いと思いませんか?かの夏目漱石 も一説によるとパニック障害を煩っていたのではないかと言われています。身体障害と違い精神障害は 「怠け病」とさえ呼ばれる怖い病気です。若い皆さんには私が受けたようなバッシングやハラスメントを 受けて欲しくないのです。健康でバリバリといつまでも働きたいと思うなら、まず自分の体をいたわっ てあげてください。最近おかしなことはありませんか?スーパーで買い物をしているときに気分が悪く なったりしませんか?トンネルをくぐるときに怖くなりませんか?高速道路を運転しているとじっとり 汗をかきませんか?これらすべて、私が体験した病気のサインでした。これらを放置していると大変な ことになりますよ。

言うまでもなく現代社会はストレス社会です。昨日まで元気だった人が今日は突然倒れたりすること があるような社会です。成人病も怖いですが、私が提言したいのは「ストレスに負けない働き方」です。

これは「ストレスと仲良くやっていく働き方」と言い換えてもいいと思います。私は釣りが好きですが、 釣りの上達のコツは短気なことです。やれ魚が釣れないのはなぜか?餌が悪いのか?場所が悪いのか? 仕掛けが悪いのか?時間が悪いのか?と、釣れないとすぐにいろいろなことを疑ってみる短気さが釣り の腕を上達させます。これを仕事に置き換えてみましょう。仕事で評価されないのはなぜか?「ほう・ れん・そう」ができていますか?プレゼンの仕方を工夫していますか?納期に間に合わせていますか? いろんな要素があります。これらはすべてストレスの材料になることを自覚して欲しいのです。釣りは 人生の潤滑油ですが、ストレスはその反対です。「じゃあどうやってストレスと仲良くするの?」誰もが 抱く疑問です。若い皆さんでも、ほんの少しの緊張感が仕事に上手く働くことを知っていると思います。

この緊張感がストレスなのです。しかも「ほんのわずか」というところが大事です。ストレスを調節す ることはとても難しいことです。しかし緊張を調節することはある程度可能です。昔から緊張したとき は手のひらに「人」という字を書いて飲みなさいと言われてきました。私たちの先人は緊張の調節の仕 方を経験的に知っていたのですね。そんな先人の教えにあるものをプラスすることで、ストレスと仲良 くやっていけるようになるのです。薬ではありません。趣味や運動や自分をリラックスさせる方法のこ とです。趣味の一つや二つ、誰にだってあるはずです。自分をリラックスさせてくれる方法こそ一番の 薬なのです。若いうちは無茶をすることもあるかと思いますが、時には止まって青空を眺めてみてくだ さい。趣味に没頭してください。これこそ健康に仕事を続けていく秘訣なのですから。

戻る