【努力賞】
【テーマ:さまざまな働き方をめぐる、わたしの提言】
誰かのために働くということ
東北芸術工科大学企画構想学科  高橋莉子  21歳

うちの祖母は、働き者だ。朝から晩までずっと動いている。今年で70歳になった。とても元気だと思う。

そんな祖母には突然新しいものを買ってくる癖がある。我が家は裕福な訳でもなく、両親は共働きで、いわゆる一般的な田舎の家族だ。でも、冷蔵庫や洗濯機や車まで、学校から帰ってきたら突然新しくなっていることがよくある。そういう時は、だいたい祖母が買ってきている。お父さんから昔の話を聞くと、祖母は一生懸命働いて、無駄遣いせずに、ずっと貯金していたらしい。朝早くに起きて、お父さんたちが学校に持っていくお弁当を作り、家事をし、仕事に行って一日中働いていたと聞いた。仕事を辞めた今でも、朝は畑に行って、家の掃除をして、買い物に行って、私たちの晩御飯を作って、とノンストップで働いている。祖母は「何かしていないと早くボケそうだから」と笑っているが、私たち家族は、祖母が休んでいるのを見たことがない。体を壊したら元も子もないのにと思うのだが、今日もピンピンしている。誰よりも元気で、「強いなぁ」といつも思う。

私を含め、祖母には五人の孫がいる。祖母は何かあるたびに、ぽち袋を渡そうとしてくる。「いいから、持っとけ」と必ず言う。祖母は、自分が汗水垂らして働いて手に入れたお金を、私たち家族のために使うことが当たり前だと思っている。当人は母の日に貰ったものばかり使っていて、自分のものを買うことはほとんどない。でも、私たちのランドセルも、入学祝いの机も、中学校に通うための自転車も、全部祖母が与えてくれた。「ばあちゃんが子供の頃は学校なんか行けなかったんだよ」と、言ながら買ってくれた。私たちの当たり前は、当たり前なんかじゃないと気づかせてくれる。学校に行くこと、仕事ができること、誰かのために働けること、こんなに幸せなことはない。

「誰かのために働く」こんなに難しいことをずっと続けてきた祖母には、尊敬と感謝の気持ちでいっぱいだ。祖母のように働きたいと昔から思っている。忙しそうだけど、祖母はいつも幸せそうだ。人は働くことで幸せな人生になるのかもしれない。これから私の就活が始まる。祖母をお手本にして、自分なりの働き方を見つけていきたいと思っている。私が働いたお金で祖母に恩返しができる日まで、これからもずっと元気に働いていてほしい。

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