【努力賞】
【テーマ:仕事をしたり、仕事を探したりして気づいたこと】
私が本当にやりたい仕事に就くために
東北芸術工科大学企画構想学科  宇野美優  20歳

小さい頃は当たり前のようにみんな将来の夢を語った。もちろん私も家族や友達にはっきりと口に出せた。しかしいつからだろう、私が将来の夢を口に出せなくなったのは。いつから他人の夢をうらやましくなったのは。

大人になるにつれて経験や知識が増えると、自分の不向きが分かるようになっていった。すると悲しいほど将来の夢が消えていき将来の幅が狭まっていく気がした。

極めつけは大学である。入学するとぎらぎら、きらきら輝いている人がたくさんいた。彼らは何かその人にしかできないことを持っていたり、自信に満ち溢れていた。私はそれを目のあたりにした瞬間、自分の存在意義を疑った。それからぐるぐると「自分の強みは何か?」「何が出来る?」「なぜあの子のように上手くできないの?」「どうして自分はつまらないの?」次から次へと溢れてくる。

3年生になった今まで悩み続けた。悩めば悩むほど水の中で溺れるように苦しくなる。もがけばもがくほど自分の将来の夢が何か分からなくなってしまった。どんな仕事に就きたいのか、5年後どうなっていたいのか何も分からない。自分の働いている姿が全く想像できないのである。でも何かしなきゃいけないと焦った。だからとりあえず、目の前のことをやろうと思い取り組んだ。上手くいかないときは水かさが上がった。たとえ上手くいき、賞をもらったときもなかなか上手に息継ぎはできなかった。

しかしもう3年生。周りも授業もどんどん就活寄りになっていく。就活の話が出るたびに不安と焦りが圧し掛かってくる。そんな「働くこと」に希望が無くなってきた時だった。

ある講義の際『「スティーブ・ジョブズ」とあなたの違いは何ですか?』と問われた。私はジョブズのようにクリエイティブな考えはできないし、行動力もない。頭の造りが根本的に違うのではないのかと思っていた。しかし講師の先生は「何も違いはないんだよ。ジョブズもみなさんも同じ人間だよ。できないって決めつけていない?」とおっしゃった。私はハッとさせられた。これまで私は「これは向いていない」と思ったらスタートラインに立ちもしない。さらに今まで何事も他人と比べてばかりで何一つ自分を認めなかった。だから自分を見失って、自分のことなのに何も分からなくなっていたことに気付く。もしかしてやりたいことがあっても、あの子より私の方が劣っているからと比べて、挑戦することから逃げてなかったか。また上手くいったときも私より上手い人は五万といると、自分を認めることをしなかった。私は何でも挑戦できるチャンスがあるのに自ら見送って、何もできないと騒いでいただけだったのだ。するとスッと胸のわだかまりが消えて何でもできる気がしてきた。

しかし本題の「将来本当にやりたいこと」は、自分の中で厚い厚い壁を作ってしまったので聞こえない。しかし私がやりたい仕事に就くためにすべきことは分かる気がする。まずは他人と比べず、自分の本音を見逃さないことだ。また今までしてきたことやこれからすることを自分で、できないと決めつけて否定しないことである。まずは苦手だと決めつけていた「接客業」のバイトを始めてみた。まだぎこちないけれど楽しい。また接客業をしていると1つのお店に多くの職業が携わっていることに気付いた。

するとほんのちょっとだけ自分のやりたいことが分かった。これから私はその「ほんのちょっと」を探していきたい。それが最終的に大きな塊となったとき。そのときは恥ずかしいけれど、私の将来の夢に耳を傾けてくれる人がいたらうれしい。

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