【努力賞】
【テーマ:さまざまな働き方をめぐる、わたしの提言】
高校生としてのアルバイトに関する一考察
山口県立山口高校通信制  津りか  17歳

進学校に入学し、名のある大学へ入学。そして、大企業に就職。それが一番(花形)の人生だろうか。もちろんそれも一つの生き方だが、私はそれだけではないと思う。

私は以前進学校に在籍していたが、体調を崩した上、家庭の事情もあって、今は通信制高校に通い、コンビニエンスストアでアルバイトをしながら生活をしている。普通の高校生が学校で授業を受けたり、部活動をする、平日の9時から18時の時間帯に私は働いている。最初、普通ではない生活に対して私はとても劣等感を抱いていた。なぜ私は、毎日電車通学したり、学校で友達とふざけたりして笑い合うことができないのだろう。そんな自分の生き方に、私は毎日嫌悪感を抱いて生活していた。そう、私も以前はいわゆる花形が一番偉いと思っていたからだ。

そんな中、いくつかのアルバイトを転々とし、現在のコンビニエンスストアで高校2年の秋に働き始めた。コンビニエンスストアは商品の展開も早く、お客様の年代も幅広い。そんな変化の大きい職場で働いていくうちに、私自身も働く1日1日がとても面白いと思えるようになった。

私が最も楽しく面白いと感じることができるのは、レジでの接客である。なぜなら、様々な職業、多様な働き方をしているお客様と会話することができる僅かな時間が、そこにはあるからだ。一言、「今日は暑いですね。」とお客様に声掛けをすると、多くのお客様は笑顔で返事を返してくれる。声掛けを続けていくうちにお客様も私のことを覚えてくださり、仕事のことを話してくれたり、新商品の感想を聞かせてくださったりと話題が格段に広がり、様々な情報を得ることができるようになる。コミュニケーションをとることがとても楽しくなるのだ。そんな一言から始まるコミュニケーションで、私は今までに味わったことのないような充実感や優しさを感じることができるようになった。

そしていつからか「この生活も楽しい」と思えるようになった。今までの私は、高校と大学は名のある学校へ進学し、有名なところへ就職し上を目指していくことこそ、花形の人生だと思っていた。しかし、それは違った。アルバイトを始めてから、働くことには学力も必要かもしれないが、コミュニケーション能力も大切なのだと感じ始めたのだ。そして、誰かに必要とされている、私という存在がそこに

あると思うことができたことこそ、私が今の生活に楽しさを見出せた一番の理由だと気づくことが出来た。

そんなアルバイトという経験は高校生の私たちにとって、とても良い経験・勉強になると私は考える。3年間の高校生活では学べない、社会に出ていく為のコミュニケーション能力を実際に働くこと、経験することによって、培うことが出来るからだ。進学校になればなるほど、アルバイトへの締め付けが強く、学業優先と言われ、働くことすら許されない学校も多い。私が以前いた学校もまさにそうだった。しかし私は、そんな進学校も含めて、もっと高校生がアルバイトをすることに対してのハードルを下げてもいいと思っている。私は高校生である今、コンビニエンスストアのアルバイトとして働くことで、多種多様な職業や働き方をする人々に出会うことができた。そしてそこでコミュニケーションを取ることで、自分の将来についての考えを持つことができたり、実際に働いている人生の先輩の声を聴くことができ、私自身のスキルを高めることにもつながっていると思う。それは座学では学べないことだ。

学力だけでは分からない、その人のコミュニケーション能力など、もっと学力に関係なく就職できたり、仕事ができる社会になってほしい。自分が将来なりたい自分になる為に、自分にとっての花形の人生を見つける為に、高校生である時にアルバイトをすることがもっと認められたらいいなと思う。もちろん高校生にとって学業が大事なことは言うまでもないが、アルバイトをして、社会を知ることも大切だと私は考える。

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