【公益財団法人勤労青少年躍進会理事長賞】

【テーマ:仕事をしたり、仕事を探したりして気づいたこと】
感謝の気持ちを忘れず
島根県  後藤柊吾  18歳

私は中学、高校とお金の使い方を知らない学生でした。部活が終わるとゲームセンターへ行き、休みの日は友達と遊びに出かけ、家に居ても夜になれば抜け出し、何も考えず、友達と多くのお金を使い遊んでいました。

部活をしていて、バイトもしていない私に、なぜ遊ぶお金があったのかと言うと、両親から毎日のようにお小遣いを貰っていたからです。父も母も早朝から仕事に出て、夜遅くまで家には帰ってきませんでした。反抗心もあり無駄使いをしていたのかもしれません。

社会人となったある日、父が初めて教えてくれたのですが、母は私が高校進学すると同時に、勤務時間を4時間も増やしていたそうです。姉の2人も大学へ行っていましたので、学費や仕送りを考えると、たくさんのお金が必要だったと思います。しかし、私はそんなことまったく知りませんでした。

今、私は会社が用意してくれた寮で生活をしています。食事は寮母さんに作って頂いていますが、苦手だった早起きも目覚まし時計と携帯でなんとか起きれるようになりました。また、今までしたことのない洗濯、掃除など身の回りのこともするようになりました。少しずつですが自立し、社会人としての一歩を踏み出したところです。先日初めて給料を貰いましたが、想像していた金額とは程遠いものでした。朝8時から夕方5時まで働いて、これだけか…とも思いました。

そんな時、思い浮かんだのは、汗水垂らして死ぬ気で働き、自分では使わず、また文句も言わず私達の為にお金を使ってくれた、両親の顔でした。社会に出て、責任を持ち自立するようになった今、ご飯を作ってくれて、わがままを何でも聞いてくれた両親の大切さ、見返りを求めない無償の愛を少しですが理解できるようになりました。

社会人としても、まだ何も出来ない私ですが、今まで与えてくれた愛を自分なりに精一杯返せるように一生懸命働き、感謝の気持ちを忘れず、どんな形でも良いので、恩返しをして行きたいと思います。初めて貰った給料で、父には靴、母には好きなコーヒーメーカーを買いました。両親のとても喜んでくれた笑顔が今でも忘れられません。その後、私の支払いで食事にも行きました。久しぶりの両親との食事で、うまく話はできませんでしたが、少しは親孝行できたのかなと思っています。

働く意味とは、自分の為だけでなく、私の両親のように誰かの為にお金を稼ぐ意味もあるのだと思います。

これから多くの壁や悩みがあると思います。でも、両親の姿を思えばどんな困難も乗り越えられると思っています。将来、私が結婚し子供を持つことになったら、私がして貰ったように、私も自分の子供に無償の愛を伝えたいと思います。その子もその愛に気付いてくれれば嬉しいのですが…。

働くこと、お金を稼ぐことはとても大変なことだと今、実感しています。知識も技術もない私ですが、早く成長した姿を見せ、一人前になり親孝行ができるようになりたいと思います。

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