【佳作】

【テーマ:仕事をしたり、仕事を探したりして気づいたこと】
仕事をしたりして気づいた事
埼玉県  金子えま  51歳

私はアパレルの販売を20年以上しています。見た目で見るよりこの仕事は体力も人間関係もきつくハードな仕事です。私の学んだ事をお話しできたらと思います。物を売る仕事には必ずノルマがあります。

私の携ってきたのは婦人服で女性しかいないスタッフなのでもめごとやぶつかり合う事も多くショップの中が暗く嫌な空気が流れると必然的に売り上げも低迷します。人間関係と売上はイコールで多くの原因は個人のノルマです。取った、取られた。どれだけこの問題を目の当たりにしたかです。それが原因で体調を崩し退職する人異動する人、様々な人を見てきました。私が最初に配属されたのは新宿の一番店でした。ブランドとして一番の売り上げを出す店でした。そのショップは人がころころ変わる。人の育たないショップでした。売上を取った、取られた、売ってなんぼ、1円でも多く売れと言われ、みんなぶつかり合っていました。後にそのショップは退店してしまうのですが、ずるい事をして人の売上げを取る人、人をいじめた人うそをついて自分の立場を良くしようとした人全員いなくなるんですね。ばかにされても一生懸命やる人、正直に生きる人は居残っていける。正直者は損をする事もあるとは思いますが勝っていけるのは正直に生きる人。努力をする人。人間不可能な事はないと思う。

不可能は努力をする事によって可能にする事ができる。その後私はミセスブランドに異動になりここで学ぶのは愛。50代から90代までの幅広いお客様。ただ売っていくだけでは数字が取れない。私についてきてくれる私のファンを増やさないと売上げにつながらない。私がしたのはお礼状と電話。お礼状は3日以内に出し印象をつけるため、絵を書いたり、シールを使った手書きのもの。今はパソコンが主なので喜ばれ私をアピールする事ができた。電話も売る事をアプローチしない、「元気ですか」「体調はいかがですか」などと言った会話。毎日こつこつとやり始め私の顧客さんが増えていった。

売上げのない時に電話をして来店してくれる近所のお客様、私がいる日を聞いて来店してくれるお客様、この頃になると私とお客様との信頼関係が築き始めていました。私が異動してから3年が過ぎた頃、会社の都合でショップが退店になると聞かされた。ショックだった。自分の事よりお客様の顔が浮かんだ。もうあのお客様とは会えなくなってしまう。心が苦しかった。退店の日が近づいてきて、私の顧客さんに電話した時に言われた胸につまる言葉がある。そのお客様に電話したのは台風の日でした。「今日はこんなに風が吹いて台風になってしまったけれど、たまに陽がさす時だってあるんだよ。人生悪い事だけじゃない。それをバネにするんだよ。」と言われ涙が出ました。又、お客様から手紙をもらい「最初はただのお客と店員さんだったのに金子さんには情が移ってしまいました。」と書いてあり今でもこの仕事をしてきて本当に良かったと思いました。

私は自分に何が出来るか考え、愛情をもって、お客様と接する事にしました。結果私は沢山のお客様に支えられ、沢山の愛をもらいました。仕事は色々で様々な職種がありますが、愛は1つ。愛は共通。誠心誠意をもって、一生懸命、仕事をする。それが結果につながり、自分の満足となります。人生は嫌な事の方が多いが人は、成功した時の喜びが忘れられないからまた挑戦するのだと思う。道は険しいけれど、ゆっくりと、休みながら歩いていく。それが一番大事。人に感謝する事を忘れずに、これが私が仕事から学んだ事です。

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