【 努力賞 】
【テーマ:仕事を通じて実現したい夢】
働くということ
山形県  山 川 香 織  20歳

最初に言っておこう。私は将来がとても不安である。

小さい頃は将来の夢や、将来やりたい仕事を笑顔で話せていた。自分の家族や友達の親、学校の先生やテレビの中の芸能人。私の世界には憧れの大人が数えられないほどいた。あの頃はただ、自分はどんな大人になるのか将来が楽しみでならなかった。

いつから将来への不安を抱くようになったのだろうか。それは、きっと私が働くということを自分事として考えるようになったことが原因のひとつだろう。このことを考えると、昔は本当にただ漠然と、憧れを口にしていただけだったことに気づく。「こんな大人になれたらいいな」「こんな仕事ができたら楽しそうだな」と、口にしてはいたがまだ他人事だったのだ。どうすればその仕事に就けるかなんて子どもの頃は考えもしなかったし、成長するにつれどうせ無理だと諦めて将来の夢を口に出すどころか考えることもしなくなっていた。周りの友人だってそうだったし、聞いても返ってくるのは決まって「何も考えていない」「特になりたい職業はない」という言葉だったものだからそれでいいと思っていた。

しかし、それはただ自分事として働くということを考えるのが嫌で逃げていただけだと今なら分かる。私には将来の自分なんて想像できなかった。小さい頃、憧れていたような大人になれるとも思えなかった。将来を考える中で、どうしようもない自分を知るのが嫌だった。

更に、将来への不安を抱くようになったのは、働くことの怖さを知ったことも原因だろう。親や仕事をしている友人から、仕事の苦しさや過酷さ、人間関係の問題や社内のいじめ等、いわゆる愚痴をよく聞くようになったのだ。私は話を聞いていて恐怖を感じた。自分がそのような状況になったらどうしようと、悪い想像をするようになったのだ。

ここまで将来が、働くということが不安だと述べてきた。しかし私は今、働くことから逃げないで自分なりに進もうとしている。それはなぜか。先ほど述べたことは私の本心だし今でも思っている。だが、それ以上に働くことの重要性を感じているのだ。

働くとはなんだろう。私は働くとは、仕事とは、目標だと考える。人間は何にしても目標を持って生きている。目標と聞くと年間目標や将来の目標等の堅苦しいものや自分を鼓舞するための大きなものを想像すると思うが、それ以外にも人は無意識に小さな目標を作って、それを達成し満足して、生きる糧にしていると思う。ゲームだってクリアすれば嬉しいし課題だってやっている最中は嫌でも褒められたら人は喜ぶだろう。目標とは、人が生きる上で満足を得、充実した人生を送るために必要なものだ。目標は様々だ。働く中で見つける目標もそうだし、ある目標のために働き、お金を稼ぐというのもあるだろう。人は目標を持ちながら生活することで達成感や満足感、充実感を感じる。それは生きる上で重要だ。仕事はそれに直結するものなのではないだろうか。

今までは周りの大人を見習い、ついていけばなんとかなった。しかしこれからはそうはいかない。自分で生きることに意義を見出し、考え、選択し、生活していかなければならないのだ。働くことは辛く苦しいだろう。しかし働かなかったら、きっと充実感なんて得られない。人生の意義を見出すきっかけを失うことになるかもしれない。損な人生を送るなんて嫌だ。目標は人それぞれでいい。働くことで達成できる、また達成しながら働くことが重要だ。

最後に言っておこう。私は将来がとても不安である。しかし、その先で何を得るのか楽しみでもある。だから逃げたくない。私は働くことで私自身にも、私の人生にも意義を見出し、私なりの人生を楽しみたい。私の今の将来の夢は、働く私の姿を見て、将来が楽しみだと思ってもらえるような、昔憧れた大人になることだ。

戻る