【 努力賞 】
【 テーマ:仕事を通じて実現したい夢】
「ありがとう」で繋がる場
大阪府  masa 36歳

私が仕事を通じて実現したい夢は、単身高齢者の方がその有する能力や知識を活用し、役割を担って「ありがとう」という感謝の気持ちを受けることのできる場を創出することです。決して恩を売るという意味ではなく、「ありがとう」という五文字が人を繋ぎ、そして自分の存在意義を強く感じることができる言葉であると考えるからです。

私は居宅のケアマネージャーとして働いています。地域的に身寄り無い単身の方が非常に多く、支援は最期を迎えて、お見送りをするところまで続きます。つまり、我々が支援に介入するまでは、世間一般で言われる「社会的孤立」状態にあった方々です。

 その様な方々を支援させて頂く中で、日々思っていることがあります。それは、地域社会において単身高齢者が役割を担う場があまりにも少ないということです。

現代社会では、以前よりも血縁、地縁が希薄になっています。家庭の中での「おばあちゃんの知恵袋」や、地域においての「長老」という様に、高齢者が役割を担う機会が減ってきている様に感じます。

 私が関わる多くの方々が、最も目を輝かせながら嬉しそうにお話をしてくれること。それは、昔の仕事のこと、若い時に頑張ったことや苦労したこと、自分だけが持っている専門的な知識などです。そのお話一つ一つは、若い世代では到底経験していない、とても貴重な内容です。もちろん、知識だけではなく、素晴らしい技術を持っている方々も多くいらっしゃいます。

 人は誰もが他者から認められたい、誰かの役に立ちたいと願います。それが生きがいに繋がり、日々の目標や夢を持つことになるのだと思います。例えば仕事ならば、給料という目に見える形となり、さらなる向上を目指します。お金ではなくても「ありがとう」という感謝の言葉一つでも良いのです。むしろ後者の方が重要と考えるのです。

 私達は、生きていく上で何かしらの役割を担います。家庭においては「親」や「子ども」。職場では「上司」や「部下」。学校では「生徒」や「先輩」「後輩」など。意識をしなくても、望まなくても、その時に応じた役割があり、それを担って生きていくのです。

しかし、社会的孤立と言われる様な状況にある単身高齢者にとって、それは非常に難しいのです。

 私が仕事でよく耳にする言葉があります。「生きていても仕方ない」や「早くお迎えが来たら良いのに」といったものです。それは他者との関わりが希薄であり、自分自身の役割を感じていないことに起因します。 

それら多くの方々が、誰からも「ありがとう」の一言さえも掛けられることなく日々の生活を送っています。逆に、世話になって申し訳ない、というネガティブな気持ちを抱えながら過ごしている方々が圧倒的に多いのです。

自分の役割を担い「ありがとう」と感謝されることは、意欲を持って生きることの原動力となります。

日本は世界トップレベルの長寿国です。しかし、ただ長生きすることが素晴らしいのではなく、最期まで日々の生活に満足感を持ちながら生きることが望ましいのです。つまり、それは高い「生活の質」を維持することなのです。その為には、受動的に支援されるだけではなく、能動的な活動が必要であり、そして、その場が求められるのです。

現在、私は働きながら社会人として大学院で勉強をしています。今は現状を捉える為の勉強段階ですが、いずれは現在の仕事と勉強を通じて、単身高齢者の方々が役割を担い「ありがとう」と感謝を受けることのできる場を作りたいと思っております。「老後の不安」を抱えるのではなく、長生きすることは素晴らしく、楽しいことだというイメージを定着させたいのです。

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