【 佳  作 】

【 テーマ:多様な働き方への提言】
働くとはチャレンジすること
大阪府  かねことしこ  53歳

 今、私が願っていることは、何とか仕事を続けて社会に貢献したいということである。あたりまえのようで、社会の役に立つために働くということが、私にはハードルが高い。というのは、私には障害があるからだ。

 2004年12月に、私は人工呼吸器がついて、危篤になり、もう助からないといわれていた。それから、一生懸命、リハビリを続けた。何もできない自分に、ずいぶんと落ちこんだ日日もあった。それまでの私は教師だったのに。

 しかし、私はカラーコーディネートの勉強をしたことがあったのを思い出し、色彩福祉士とライフケアカラーコンサルタントという資格を取得して、色彩を福祉に生かす仕事に再挑戦した。

 町の公民館や商店街のカルチャー教室、寺の文化教室が私の職場で、そこは大手の人気のカルチャースクールとは違い、地味で、受講生も数人、ほとんど収入にならない仕事である。それでも、私は、色彩の力を借りて、社会福祉の役に立ちたいと仕事を続けている。

 ところが、この七月に事態が一変した。「難病に指定できるかもしれないので、検査入院して下さい」と主治医の先生に言われたのだ。

 私は半年前に、難病患者就職サポーターやハローワークの障害者窓口の方に連絡をとっていた。私の印象では、企業の求人は十分働ける体力がある患者を求めているようだった。

 それでは、人並みにフルに働けない病人や障害者はどうすればいいのだろうか。私が考えるのは、一般企業の人達に手が回らない仕事を、フリーでやっていくことではないだろうか。大切なのは、一人一人が自分の持ち味を生かして、『多様な働き方』をすることだと思う。

 私が試みていることを挙げてみたい。流行しているネットショップに、私はカラーコーディネートを生かした。手作りカードやブローチを出品してみた。また、子供向けなどの電子書籍をネット出版している。売れているわけではないが、余暇は創作にあてている。今はまだ、自分にあった在宅ワークを見つけようと模索中である。

 病人や障害者の中で、社会の役に立つ仕事をしたい、と思っていない人は、ごく少数のつらく苦しい思いをしている方々だけだと、私は思っている。

 だから、私は続けられる限りは、カルチャー教室の講師の仕事を続けたいし、また身体の制約があるので、フリーで働ける自分にあった仕事を探していきたいと思っている。

 一人前に働けていない私が、若者にメッセージを伝えようというのも恥ずかしいが、「ニートになるな!社会のお役に立て!」というメッセージともう一つ、「働くことは、チャレンジだ!」というメッセージを伝えたい。

 いろいろな仕事にチャレンジしてみると、自分というものが、一回りも二回りも成長する。いろいろな経験をして、たくさんの成功と失敗を重ね、たくさんの人達と知り合うことを私はおすすめしたい。

 病気や障害を持った若い人達も、どうか負けないでほしい。自分らしい働き方がきっと見つかると思う。大切なのは、失敗しようと失敗しまいとチャレンジできることである。

 これからの社会は、若い人だけではなく、高齢者も、女性も、そして、ハンディキャップをかかえた人も、様々な人々が自分の持ち味を生かして、社会に貢献していく時代であると思う。

 若い人たちは、『社会の役に立つ』という志を持ち、さまざまなチャレンジを試みてほしい。働き方はさまざまである。大切なのは、チャレンジ精神と負けないことだ。

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