【 努力賞 】
【テーマ:非正規雇用・障害者雇用で訴えたいこと】
派遣社員から正社員への道を確実なものに
京都府 大管新 62歳

先日、労働者派遣法の改正法案が国会で成立した。今までは企業の派遣労働者の受け入れ期間は、一部業務を除き、最長3年となっていた。しかし今回の改正案では“その制限をなくす”というのである。今までは、“派遣”は臨時的、一時的な仕事を担う例外的な働き方として位置付けられてきたのだが、今回の改正で、派遣労働の固定化が進むと同時に、正社員から派遣労働への置き換えも進んでいくことが懸念されている。これは企業にとってみれば、人さえ入れ替えれば、ずっと派遣労働者を使い続けられるということである。しかし労働者の側から見れば、企業の都合でいつまでも非正規雇用を強いられるということでもあるのだ。

私は2年前、60歳で定年を迎えた。大学卒業から38年間公立中学校理科教員として勤務を続けてきた。大学を卒業の年、教師になるため高等学校理科の教員採用試験を受験していた。しかし3月の末をむかえても、採用通知は届かなかった。そこでその年の採用を諦め、翌年の採用試験を目指して高等学校三校を掛け持ちで、非常勤講師として1年を過ごす決断をした。ところが年度途中に中学校理科での採用通知が届いた。私は高等学校理科の教員免許と同時に、中学校理科の教員免許も取得していたからである。ここで私は悩んだ。このまま非常勤講師(非正規)を続け、来年再度高等学校の採用試験を目指すのか?それとも中学校で教諭(正規)として採用になるのか?高等学校と中学校の違いはあるものの、やはり教諭(正規採用)と非常勤講師(非正規採用)とを比べた時、やはり正規採用を希望する気持ちが強かった。その考えは両親も同じであった。それから定年まで38年間中学校理科教師として勤務することになったのである。

このような自らの経験から次のようなことが言える。正規採用となれば、安心して落ち着いて仕事に励むことができる。しかし非常勤講師(非正規)では、来年の採用試験のことなども考えなくてはならず、安心して落ち着いて職務に専念しづらいのである。このように精神的な余裕を持つことが、さらなる勤労意欲の向上につながり、その結果生じる効果も当然違ってくると考えられる。また経済的な安定も、職務効果に大きな影響を与える。経済的な保障の有無が、精神的な余裕や勤労意欲の向上という点において、大きな差異となって現れてくるだろう。これは決して非常勤講師という働き方が悪いということではない。定年後の我々のような者が、非常勤講師(非正規)として採用されることは何ら問題はないし、むしろこのような制度は残すべきである。しかし新規卒業の大学生の場合では、全く意味が違うのである。

このように正規採用では、他に何の心配もなく、仕事に集中し没頭することができる。すなわち充実した教育活動に邁進することができるのである。当然効果も上がるだろう。そして経済的な安定が、その後の結婚へ、そして子育てへとつながっていくことだろう。逆に非正規雇用では、それが仕事への意欲の低下につながり、経済的にも不安定な状況に置かれ続けることになる。それが次の結婚の問題へ、さらには今話題になっている少子化の問題へと波及していくことになるのである。今回の法改正では、多くの若者の正規雇用への道が、限り無く閉ざされていくことになりかねない。そのことにより若者の多くが、このような悪循環のサイクルに陥ってしまうことが懸念される。このような悪循環のサイクルを断ち切るためにも、非正規雇用から正規雇用への道を確実に保障する制度を法制化していかなければならない、のではないだろうか。

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