【 努力賞 】
【テーマ:仕事・職場から学んだこと】
仕事・職場から学んだこと
島根県 富田浩晃 32歳

私は現在の会社に入社して今年で七年目を迎えます。当社は主に電気設備工事の施工・管理を行っています。入社する前は工場に勤務していました。当時は仕事にやりがいを感じることが無く、工場でそれなりに勤務し一日がなんとなく過ぎて行き、特に「こうなりたい」とか「もっとこうしたい」といった向上心も無い生活を送っていました。その時すでにこの仕事を続ける気は無かったのかもしれません。どうせ転職するなら、「長い人生の中で少しでも仕事を楽しくしたい」そう思っていました。そして現在の会社に入社しました。電気工事という仕事をどんどん身につけ、早く一人前になりたいと張り切って入社したことを覚えています。しかし、現実は決して甘くありませんでした。上司・先輩に教えてもらったことを忘れないようにメモを取り、それをひたすら覚える。そして覚えたことを自分の知識として蓄積し、同じものが一つとしてないそれぞれの現場を、自分のアイデアで工事方法、手順、段取りを決めて施工する。以前とは違って、考えて行動することが必要になります。お客様への対応や関連業者や建築業者との打ち合わせ、現場での安全管理、工程調整などなど覚えることは山のようにあります。「仕事は楽しく」なんてのんきなことを言っている場合じゃ無く、「仕事が楽しい」と思える日は来るのだろうかとさえ思えてきました。

三年くらいが過ぎた頃でした。初めて新築住宅の工事を担当することになりました。この現場のことは今でも忘れることができません。なぜならこの現場で私は、電気工事という仕事を通じて喜びや苦労などのこれまでに無いくらいの経験をしました。工程の遅れや段取りミスなどによりたくさんの苦労をしたことを覚えていますが、私がこの経験で一番得たことが仕事の楽しさでした。幾多の苦労の末に出会ったのが、お客様の笑顔と暖かいお言葉でした。「これかっ!」と感じました。

月日は流れ、私にもたくさんの後輩社員ができ、教える立場となりました。それぞれに性格や考え方、理解力も違いますし、やる気も様々で、いろいろな接し方や教え方があると思いますが、私はなるべく後輩に作業を任せるようにしています。それは、私自身も任せてもらえるようになってから少しずついろいろなことが見え始め、自分の気持ちも変化し出したからです。後輩に成長してもらうためにはいろいろな経験をさせ、成功もあれば、失敗もありますが、いつもバックアップできるように準備し、後輩を支えることができるように心掛けています。なぜなら私が経験したような喜びや苦労といった経験が必ずや後輩社員の自信に繋がっていくと考えているからです。

仕事の中に楽しさを実感できた私は、この会社のこの電気工事という仕事でいこうと決心しました。これから先も多くの壁が待ち受けていると思います。以前の工場ではこの多くの壁から逃げていただけなのかもしれません。今ならどんな壁でも乗り越えていけるような気がします。なぜなら現在の会社で仕事の楽しさを学んだからです。

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