【 努力賞 】
【テーマ:仕事・職場から学んだこと】
今の私を作るもの
静岡県 繭子 27歳

私は、現在正社員として働いていますが、約5年前まではアルバイトをしていました。

高校を卒業後、求人雑誌で見つけた本屋で働いていました。臆病者の私は、正社員というものに高い壁のようなものを感じていたこともあってフリーターの道を選びました。

そこでの出会いは私を変えてくれました。私は人見知りをすることが多く、その為か笑っているつもりでもうまく笑えず、相手には怒っているように見えることがあったようでした。そのことを自分で気づくことはできません。職場の先輩がそのことを言ってくれ、私は以前よりも笑うことを意識するようになりました。そして、日に日にちゃんと笑えるようになり、人に与える印象も変っていきました。

人は、鏡の前では顔を作ってしまう為、自分の表情は鏡で見てもなかなか気づけないものです。私はここで、最初に表情の大切さを教えてもらいました。

しかし、その先輩のおかげで楽しく働いていられた頃、ある友人から「早くちゃんと就職したほうがいいよ」などと言われました。確かに正社員として働いているわけではありませんでしたが、私は、アルバイトでしたが、責任を持って働いていました。どうしてそんなことを言われなくてはならないのかと、とても嫌な気持ちになりました。

その友人は、高校卒業後からある企業で正社員として働いていました。友人は、アルバイト、フリーターなどというだけで否定するような子でした。その時からずっと思っていたことです。

"どんな形態で働いていようとも、その仕事に責任を持って働いていれば、フリーターだろうと派遣社員だろうと恥ずかしいことじゃない"

では、なぜ私が今正社員として働いているのか?それはおそらく、心の準備ができたからなのではないかと思います。

アルバイトとして働いていた間、いろんな人に出会ったことで、心が強くなったのだと思います。初めて正社員として働きたいと思いました。高く感じていた壁も少しずつ変っていきました。そうなれたのは、何よりもその職場で働いていたおかげです。私を笑顔にしてくれた先輩を始め、たくさんの人が私を強くしてくれました。実際は、今も臆病者なのは変りません。ですが、責任を持って働く。それだけは変りません。

私が就職したとき、友人は言いました。「やっと落ち着いたね」と。正社員だけが安定や立派なことじゃない。いろいろなステップを踏んでいかなければなかなか前に進めない人もいる。それをあの頃の友人に言いたいです。

大切なのは心です。どれだけ自分と向き合っていきながら仕事と向き合っていけるか。正社員となった今でも、そんな悩みは尽きません。たくさん迷って、たくさん悩んで、これからも自分なりに成長していきたいです。

最近、「ムダに思えることでも、ムダじゃないんだってことが後でわかるよ」と、私の恩人の先輩が言っていました。私もそれを信じて、いろんなことを頑張っていこうと思っています。

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