【 努力賞 】
【テーマ:私がやってみたい仕事・働き方】
本当の気持ち
静岡県立磐田農業高校 深田亜美 17歳

「もう少しで、あとちょっとで、私は働かなくてはならない」一年前までの私は、働くことに不安や焦りといった負の感情で埋め尽くされていました。夢や希望といった言葉の意味が分からなくなり、将来自分がどうありたいのかがあやふやで、どうしたらよいのかがわかりませんでした。代り映えのない毎日を淡々と過ごすばかりでした。そんなときに、ある出会いがありました。

いつもの放課後のいつもの教室の中、教卓を囲み数人の友達とたわいもない話に花を咲かせていました。会話の途中、たまたま教卓の上に置いてあった進路雑誌に目を通しました。パラパラッと本当に何気なく開いたそのページに、ホテル関係の専門学校が掲載されていました。昔からよく家族旅行に行っていて、華やかそうに見えるその仕事に興味がありました。そう思うと俄然興味がわいて、会話を忘れて読み込んでいました。そのあとは、あっと言う間で、詳しい資料を見る度に、場所を訪れる度に、どっぷりとはまっていきました。

元々、家の都合で進学は危うく、就職と決めていた私にとって、そこはとても条件がよく、両親の了承を得ることができました。ある意味で初めて両親に気持ちをぶつけた瞬間で、認めてもらえた時はとても嬉しかったです。たぶん一生忘れない出来事でしょう。

夢に向かってまっしぐら。やっと私にも希望が見えてきました。しかし、今度はどうしてその仕事に就きたいのか、明確な理由が出てこず、分からなくなりました。「なんで、どうして」と考えてしまいます。そう考えてしまったら、中々抜け出せず暗闇の中に落ちていきました。そんな時、ふと思ったのです。自分は何に感動し喜びを得るのかと。生きがいとはなんだろうと。そうしたら、答えがすぐに出ました。

友達に、両親に、アルバイトをしているときお客様に、「ありがとう」と笑顔を向けられたとき、いつもより気分がよくなり、嬉しかったです。相手が喜んでいるとき、私は同じように喜びを感じていました。相手が幸せを感じているとき、私は同じように幸せを感じていました。「人を笑顔にしたい」ただそれだけだったのです。

私は将来、ホテル関係の仕事をしたいです。今は主に宴会サービスですが、人生は長いのです。長いと聞きました。私は、将来どんな仕事についたとしても、人を笑顔にできる仕事をしていたいです。

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