【 努力賞 】
【テーマ:世界と日本−海外の仕事から学んだこと】
働くことを生きがいに
日本大学三島高校 長田葉奈 16歳

時々ニュースなどで「過労死」という言葉を耳にする。この言葉が日本特有のものだと知って、私はとても驚いた。海外の辞典にも、その国の言葉で「過労死」を意味する単語はなく、日本語で紹介されているらしい。このことから、日本以外の国にはその概念があまり無いことが分かる。なぜ日本にのみ「過労死」という言葉が存在するのかについて考えてみた。

まず、外国と日本の時間のゆとりの差が挙げられる。私は新聞で、ヨーロッパの国の働く人の一日についてまとめた記事を読んだ事がある。その記事で私が一番驚いたことは、昼食時間が2時間もあることだった。その国の文化なのだろうと最初は納得していたが、記事を読み進めると、昼食を平日にゆっくり取るのはだいたいどの国でも一般的だと書いてあったり、意外に思った。私の中で、平日の昼食は、手軽に早く食べられるようにするものだという考えがあった。私の両親やその職場の人は、話を聞く限り、毎日簡単に食べられるものを昼食に持って来て、時には忙しくて食べる時間が無いらしい。私は、昼にゆっくり休むのとそうでないのとでは、午後の仕事に対するやる気が違ってくるのではないかと思う。それが残業の長さの違いにもつながっているのだとも考えられる。一番最近見たニュースでは、過労死の原因として最も考えられるのは残業による睡眠不足だと特集していた。よって、時間のゆとりが無いことは日本人にとって「過労死」を身近なものにしている要因だといえるだろう。

次に、休むことに対する外国と日本の抵抗感の違いが挙げられる。私はよく、様々な国の家族の生活を取り上げているテレビ番組を見る。どの国の家族にも共通していると感じたことは、仕事よりも家庭を優先させていることだ。会社などに勤める人が家を支える家庭は、その人は家族とのふれあいの為に休みを取っていた。そして、家族全員で働いている家庭は、食事の時や休みの日は一家で休んでいた。また、ほとんどの働く人が、家族とのふれあいがあるから仕事をがんばれると言っていた。日本では、家族とのふれあいの為に休みを取る人というのをあまり聞かないし、取りたくても取ってよいのか不安に感じる人が多いのが現実だ。休みが無いと、人間は当然ストレスや疲労がたまる。これも過労死の要因だろう。

このように、過労死の要因は、私達の身近な風潮や考え方であるといえる。私はまだ学生だが、将来働く人になったとき本来生きがいである仕事で生きることが困難になったりしないように、また、身近な働く人がそうならないようにしたい。そのために、働くことに対する知識を身に付け、時に外国の考え方も取り入れた働き方をしたい。そして、その考え方が少しでも日本で広まり、「過労死」という言葉が全く使われないような社会になってほしい。

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