【 佳 作 】

【テーマ:私がやってみたい仕事・働き方】
ココロの居場所−独りじゃないよ−
石川県 華月佑 21歳

私は近い未来、「うつ病を患う大学生」を対象とした、インターネット上の交流サイトの運営を行う職に就きたい。なぜなら、私自身がうつ病患者であり、大学にもまともに通えず、独り寂しい時間をアパートの一室で過ごす経験をしたからだ。そして、少しずつ復学し始めた頃、あまりにも自分の周囲に同じ病気で苦しんでいる学生がいることを知った。きっと彼らも、毎朝を迎えることが怖くて、外出しようとしても人目が気になり、だからといって、ずっと一人で引きこもっているのが地獄に堕ちたかのように辛い、そんな日々を過ごしているはずだと思う。そんな学生同士が自分の状態や心境、悩みや不安などマイナスな気持ちを素直に吐き出して共感し合える場所、自分一人で抱え込まず、闘病経験者も参加して、みんなで前向きに快方へ向かえるような「心の拠り所」となる場所を、私は生活の中で身近なメディアであるインターネットを用いて設けたい。

私は大学三年生に進級してすぐに「うつ地獄」へ堕ちた。原因も分からず、学校に行けない日々が続き、ひたすら落ち込んで泣きながら夜を迎える、そんな毎日だった。外へ出るのも億劫で、しかし家族に助けを求めるエネルギーさえもなく、やっと症状を伝えられても、ただの「甘え」だとみなされる、非常に辛い経験をしてきた。近くの心療内科を調べ、治療薬を処方されては副作用に苦しみ、寝たきりになったこともある。5、6件もドクターショッピングをし、何種類もの抗うつ薬を試したが、大学へ継続して通うことができない、友達も段々いなくなって、単位も取れずに留年が決定してしまった。苦しみに耐えられず自殺を図っても、結局未遂に終わり、また変わらぬ朝がやってくるという状況を数か月は繰り返した。

こんな辛い思いを誰にもして欲しくない。けれども、うつ病を患う大学生は増加している。卒業や就職がとてつもなく不安で、自分に生きている価値を問い、希死念慮と孤独に闘い続けている学生がどれほどいるのだろう。病気になった自分を責め、日常生活もままならない自分に絶望し、誰にも辛さを理解してもらえないと感じている同級生が何人も、気付かれないところで苦しんでいることを知った。

私は彼らを地獄から救うと共に、私自身も自尊心を取り戻したい。たとえ部屋から出られなくても、電源さえ付けられれば、仲間の様子や克服した人々からの励ましを得られる、とにかく「独りじゃない」ということを伝えたい。そして、いつか必ず治る、諦めてはいけないという気持ちを持って欲しい。口には出せない抱え込んだ思いを、助けを求める声を発信し、時には、励ましの言葉を掛け合う場が必要だと思う。そして、支え合い、克服していく過程の中で、一生涯に渡る自信を身に付けて欲しいと願う。

私はそのような場所を作るために、まずはプログラミングやウェブデザインに関する知識を習得しなければいけない。そして、メンタルヘルス・マネジメントを学ぶ必要がある。これらは時間もかかり、大変なことだと思う。けれども、学ぶことで私自身も成長でき、活動を通して自身を取り戻すことができると思う。学生の方々には、辛さも苦しみも、自分一人で抱え込んで潰れないでもらいたい。悪魔のような病気のせいで、自らの命を絶って欲しくない。

「今が一番辛い時。絶対、幸せになれるよ」
というメッセージを、ネット上で私は発信し続ける仕事がしたい。そして、それが広まっていくことを願う。誰かの役に立てる一人の人間として、私は生きていきたい。

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