【 努 力 賞 】

【テーマ:世界と日本―○○から学んだこと】
極東の私が砂漠の国の君から学んだこと
大阪コミュニケーションアート専門学校マンガ科 種地キョウスケ 19歳

生活のため、15歳以下の子ども達が世界中で数多く働いている−。社会人、未成年に関らず大多数の日本人がその事実を知っているでしょう。

ただし、実際に幼い子ども達が大人と同じ条件で働いている姿を見た人は、日本人の中でもそう多くはないでしょう。私も国内では見たことがありません。日本のように法律で未成年の就労が禁じられていても、治安・環境・宗教上の理由で特別に許されている場所もあります。はたして彼らは労働を強制されているのだろうか−?

そんな疑問を打ち砕かれたのは、私が13歳のとき。祖父母に連れられたアフリカ大陸は砂漠の国、エジプトでの出来事でした。

小学校卒業後、将来おおきな大人になってほしいと祖父の計らいにより私はエジプトに渡りました。3月の末のことで、まだテロが活発化する前の安全な時期でした。

遺跡や街並みも素晴らしかったのですが、私が一番衝撃を受けたのは、当時の私より年下の、5・6歳ごろの子どもが大人に混ざって働いていたことでした。

現地の商人にとって日本人はカモです。道中、ほぼ全ての観光地で土産を買わされそうになりました。そして、観光客によってくる売り子のほとんどは子どもでした。

彼らは朝五時から夕方の7時まで、日光がバシバシと迸る中、日傘もささずに観光客の中を練り歩きます。季節によっては陽が沈むのが八時を過ぎる日もあります。

休む時間を惜しみ、大人に混ざって働く彼らは不幸でしょうか。疑問に思った私は一人の少年に問いかけました。返ってきたのは、ボクは幸せだという言葉でした。

9歳だという彼は、5人兄弟の末っ子でした。父はなく、病弱な母を支えるため兄弟全員が働いているそうです。しかし、彼らは全員の稼ぎを合わせても、この日の食事を買うのに困窮するほどでした。

それでも彼は幸せだと云うのです。彼は、「働いてお金をもらえることがボクら子どもにとって最大の幸せだ」と、言いきりました。

働くことを強いられているのではなく、自ら進んで働きに出る。10にも満たない少年の口から出た言葉は、私にたしかな重みを感じさせました

現在、私は間もなく20歳になります。まわりで就職活動に頭を悩ませる友人は、まだ多くはいません。

私は今年の冬から就職活動を始める準備を進めています。働くことを強いられているんじゃない。自ら進んで、幸せを得るために働きに出てゆくんだ。そう心に決めています。

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