【 佳 作 】

【テーマ:○○年後の自分に宛てた手紙】
うつ病の私より
匿名希望

今年の4月、私は初めて転勤をしました。大学を卒業してから4年間、東京で教員として働いていましたが、やはり地元で働きたくて、地元の採用試験を受けて合格。とても嬉しくてわくわくしてこの4月に新しい学校に赴任をしました。

しかし、慣れない学校のこれまでと違うやり方。担任。専門でない分野を教えるプレッシャー。保護者からの要望。いろいろなものに押しつぶされて、心が少しずつおかしくなるのを感じました。それでもなんとか毎日がむしゃらに働いていまいしたが、症状はひどくなる一方。職場にいると勝手に涙が出てくる、最寄駅から職場まで足が動かない、でも生徒に心配をかけるわけにはいかなくて、必死に笑顔を作って「おはよう」と教室に入る苦しい毎日。

特別支援学校で働きたいと思ったのは、障害のある生徒が毎日楽しく学校に通うことができるように手助けがしたいと、そう思ったから。だからこの仕事に就いたのに、いつの間にか働くのは生活のため。給料のため。だから、耐えないといけない。働かないといけない。絶対に辞められない。そんな風に自分に言い聞かせて毎日を過ごしていました。他にも仕事はある。こんな辛い思いをして働く必要はないと、転職も考えるようになりました。でも、自分のことはおろか生徒のことすら頭が働かなくて考えることができなくなって、もう限界だなと感じました。

今はうつ病で休職をしています。いつ復帰できるかはまだわかりません。仕事のことは考えてはいけないと医者に言われつつも頭を過ぎるのは、学校のこと。私はやっぱり教員を続けたいのだと思います。だから、半年後かもしれないし、1年後かもしれないし、2年後かもしれない、もっと先かもしれないけれど、病気を治してまた、教壇に立ちたいです。

「先生大好き」と言ってもらったこと。なかなか通じない生徒が私が一生懸命した説明に「分かった!」と笑ってくれたこと。「ありがとう」と言ってもらったこと。生徒の頑張っている時の真剣な顔。できなくて悔しそうにしている顔。楽しそうな笑顔。できたときの嬉しそうな顔。病気で働くことのできない私だけれども、そんな生徒のことは全部全部覚えています。その時感じた、嬉しい気持ち。どうしたら笑ってくれるか考えたこと。一緒に苦しんだこと。一緒に笑ったこと。全部全部ちゃんと覚えています。だから大丈夫だと信じています。何年か後の私がまた、学校で生徒と楽しく過ごしている未来を。

働くのは生活のためだけじゃない。私は、生徒が毎日楽し学校に通うことができるように手助けがしたい。障害のある生徒ひとりひとりと向き合ってその子に合った支援をして、できることを増やす手助けがしたい。今はただ、教員に初めてなったときのその気持ちを忘れずに、必ず復帰できるように病気を治したいです。

戻る