【努力賞】
【テーマ:仕事から学んだこと】
仕事から学んだこと
栃木県 足利市  澤田 花英 27歳

「自分一人の力では仕事はできない」と私は今の仕事から学びました。

私の仕事は中国語の先生です。小さい頃から将来の夢はたくさん抱いていましたが、しっかりと自分のやりたいことを考えるようになったのは高校卒業後のことです。

好奇心旺盛な性格から、私は高校卒業後すぐにお隣の国中国・北京へ留学しました。北京で何年も勉強し、語学のプロになりたいと思いを募らせる一方、職業として何に就きたいのか、それはわからないまま、周りはどんどんと自分の道へ進んで行きました。

「語学を学ぶことは楽しい」という気持ちは変わらなくても、そこから仕事につなげて、働き、お給料をもらい、生活として成り立てていく。これにはピンと来ることは中々できませんでした。できればこのまま学んでいきたい。しかしそれを仕事にすることはできません。そこで中国語の先生になろうと思いました。今学んでいて私はとても楽しい。学ぶ楽しさを教えたい、その中で味わう挫折や、悔しさ、でも通じたときの喜び、うれしさ。私には、これから語学を学びたいと思う方たちにそれを教えることができる、教えたいと強く思いました。

帰国してから6年。今抱えている生徒さんの平均年齢は50代、一番上の方で70代の女性もいます。その方に、
「お疲れのようならおっしゃってください」 と言うと、
「何を言っているんですか!先生の授業は毎回楽しいから疲れていたって疲れが飛んでいきますよ」

先生としてこれ以上ないほどのありがたい言葉です。

先日は、教えて二年になる主婦の方が念願叶い、中国旅行のツアーへ参加してきました。どうでしたか?と尋ねると、旅の感想の前に、
「中国語が通じたんですよ!」
と、一番にそのことを笑顔で話してくれました。

「こんなに自分が頑張れると思わなかった。家庭を持って、パートをして、周りには学び続けるのは無理だろうと言われてきました。だからうれしいんです」
と生き生きと話してくれました。

中国の小学校にはこんなスローガンが掲げられているのをよく見かけます。
「天天向上、好好学習」

これはよく学び、日々向上するという意味です。私も今は一先生として、どうしたら楽しく学んでもらえるか、日本にいながらにしてどう外国語を学び続けるか、日々考えています。

私の仕事はただ教え、お金をもらうことではありません。私自身、生徒達からそれ以上のもの得ています。それは目に見えぬものですが、教える人間にとってはなくてはならないものです。

生徒たちが学びたいと思ってくれる気持ち、先生と一緒に頑張りたいという気持ち、そこで初めて、私という存在が必要とされてくる仕事なんだと思っています。私が一人、教えたいと願っても、生徒あっての仕事。私は仕事の中で、生徒達からやりがいをもらって生きているのです。

仕事とは自分一人の力では動けません。その経過の中にはたくさんの人たちの協力や励ましがあり、そして、また明日も頑張ろう!と思えるのです。

今の仕事を応援してくれている両親に感謝、私を頼りにしてくれている生徒たちに感謝、毎日の仕事の中で、周りとのつながりの大切さを感じます。

仕事とは、働くということは、周りがいてこそ成り立つのです。

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