【努力賞】
【テーマ:私を変えたきっかけ】
やりがいのある仕事をやりたかった私
東京都 世田谷区  大倉 真理子 24歳

「なんで、私はこんな所にいるのだろう」と、私は思った。仕事が辛くて、そう思った。現在の仕事を始めてから、しばらくその気持ちは、毎日必ずふっと思うことだった。

私にとって、「働く」ということは、「好きなことで、やりがいのある」仕事をすることだと思い描いてきた。しかし、大学生活の就職活動では、ことごとく不採用。「やりがい」のある仕事、やりたかった仕事に就くことが出来なかった。もちろん、「やりがい」のある仕事への気持ちは捨てきれなかった。そうはいっても、卒業した後どうすればいいのか。悩み考えた末に、生きていく生活費が必要だと思った。

だから、私が選んだ「働く」ことは、「好きで、やりがいのある」仕事への想いは捨て、生活のために「お金を稼ぐ」仕事選びに変わった。そうして販売営業という仕事に就くことが出来た。働ける場所があるのはとても有難かった。しかし、徐々に働いてみると、こう思うようになった。

「なんで、私はこんな所にいるのだろう」日々生きていくためだけの仕事をしている自分が虚しく、辛くなってしまうことが多々あった。更に仕事の契約件数が全く上げられなかった。どうすればいいのか分からなくなった。

しかし、こうして私がしんどくなっている一方、同じ仕事をしている同僚で、苦しさを全く見せず、バンバン契約件数を上げ仕事をする同僚がいた。なぜ、こんなしんどい仕事をちゃんとこなすことが出来るのか不思議でたまらなく、ある時私は聞いた。

「どうやって、この仕事の苦しさ乗り越えているの?私はこのまま仕事続かないなぁ」
 「その苦しい気持ち本当良くわかるよ。私もちょっと前はしんどくてたまらなかった。でも、この仕事は苦しくても、ちゃんと頑張ったらそれなりに評価はしてくれるよ」と、同僚は言った。私と同じように苦しい思いをしていたのだと知った。

「そうそう、私も苦しい苦しいって思いこみ過ぎて、どんどん自分を追い込んで行ってしまうことに気付いたから、ある時考え方を変えたの。仕事のやりがいを自分で見いだすようにしたんだよ。例えば、出来る人から方法を学んで真似てやってみたりすると、思いがけず出来るようになったり。上手くいくと、仕事が少しずつ達成感に変わって楽しくなってくるし、時間の過ぎ方も変わってくる。それで誰かに褒められるとすごく嬉しいものだよ。だから、まずは仕事にやりがいを見いだすことを自分でみつけてみることだね」

その言葉は、とてもハッとさせられた。そうはいっても、急に今までの自分の考え方を全てきりかえることは、難しい。少しずつ、自分の営業の仕方を変えていき、出来る人のトークを真似て工夫し、営業活動を行った。又、自分の中で小さな目標のノルマを立て、達成出来たら、近所の美味しいケーキ屋のスイーツを食べられるご褒美をする試みもした。そうすると前よりは、自分の中にある仕事に対するモヤモヤした苦しみは減っていった。

同僚からの「仕事にやりがいを見いだせばいい」その一言が、私の仕事に対する意識を変えた。意識を変えると、少しずつ結果が出るようにもなり、仕事も楽しくなっている。

働き出した当初、私の描いていた「好きで、やりがいのある」仕事を、私は出来ていないのだと悲しみに暮れることもあった。だけれど、与えられた仕事を自分なりに考えて働けば、どんな仕事も「やりがい」のある仕事に変えることが出来ると知った。仕事をすることは正直大変だ。時に理不尽なこともある。でも、ちゃんと評価をしてくれることもある。大変な思いをした分、評価を頂いた時の喜びははかりしれない。「働くってなんだろう?」それは、働く全ての人が必ず考えることだ思う。その答えも1人1人違うと思う。実際に働いてみないと、働く意味は分からないと今改めて思う。

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