【佳作】
【テーマ:仕事から学んだこと】
仕事から学んだこと
北海道 帯広市  松平 貴弘 34歳

私は患者会でのボランティア活動を10年近く続けている。その活動の中でできた思いをかなえるために私は社会保険労務士という資格を取得し、現在はその資格に基づく仕事をしている。

「難病を患っている若者たちの現実を改善したい」というのが私のその思いだった。

私が所属している患者会は「潰瘍性大腸炎・クローン病」の難病患者を主に支援しており、この難病は10代・20代の若年世代に発病する方が多いという特徴がある。そのため会には年配の方よりも若者の患者さんのほうが多くいる。

この難病を患っている若者から言われたことで印象に残っていることがある。それは「現在就職活動中で何社も試験を受けたけど『難病を患っている』というだけで即不合格になる。もし就職できたとしても無理して働くとすぐに病気が悪化して入院などをしてしまい、仕事を辞めなければならなくなる。もう、どうしたらいいのかわからない」というものだった。

この話のように「難病を患っている」というだけで就職試験も即不合格となり、また就職できたとしても無理して働くとすぐに病気が悪化して入院などをしてしまい、やっとの思いで就職できた仕事を辞めなければならなくなってしまうのが難病を患った多くの若者たちの現実だった。「働きたいけど働けない」というのが彼らの心境で、そんな彼らはニートやフリーターになるしかなく、30歳を過ぎてもそこから抜け出せないでいる若者も多くいる。

私はそんな現実を改善したいと思い「自分にできることは何かないだろうか」とたくさんの本を読むなどして一生懸命に調べた。その時に「社会保険労務士」という資格があることを知り、また同時に「社会保険労務士は社会保険・人事・労務管理の専門家であり、この資格を取得することによりそれらに関する豊富な知識を得ることができる」ということも知った。これを知った私の頭の中に、資格から得た知識を使って難病を患った若者たちの現実を改善していくために奮闘する社会保険労務士となった自分の姿が浮かび、すぐにこの資格試験を受験することを決心した。

この決心をしてから試験に合格するまで5年にも及ぶ長い年月を費やすこととなった。その間、何百いや何千という時間を労働基準法などといった法律の勉強に費やした。また、一日に10時間以上勉強することも珍しくなかった。こんなにも私が試験勉強をがんばることができたのは、自分のやりたいことを見つけることができたからだった。

そして現在に至るのだが、この時から10年近く経つ今でもこの思いを持ち続け仕事をがんばっている。

仕事をする上で自分のやりたいことを見つけることはとても大切だ。他人から言われたことにはあまりがんばれなくても、自分のやりたいことになら一生懸命になってがんばることができる。もし私が患者会のボランティア活動などをせず難病を患った若者たちの現実を知らないでいたとしたら、今の仕事に私は就くことができていただろうか。また、5年にも及ぶ長い年月を費やしてまで、何百いや何千という時間を労働基準法などといった法律の勉強に費やしてまで、辛い資格試験を最後までがんばることができただろうか。そう考えると、仕事をする上で自分のやりたいことを見つけることがいかに大切かということを強く実感してしまう。

これからも私はその思いをかなえるために社会保険労務士として、何年いや何十年という長い時間をかけ、難病を患った若者たちの現実を改善していくために奮闘していくだろう。

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